お茶の販売員ヤマシタです。
世界三大銘茶、紅茶生産量世界一を誇るインドの三大紅茶に数えられる、もはや誰もが聞いたことのある紅茶、ダージリンについてなぜ世界トップクラスの紅茶なのか、また、3つの旬のシーズンについてのその特性と楽しみ方をメインに今回は紹介します。
個人的に大好きな紅茶なのでぜひ実際に飲んで、そしてその魅力に納得していただければ嬉しく思います。
ダージリンとは産地のこと
インド北東西ベンガル州北部ダージリン地方で生産される紅茶を総じてダージリンと呼びます。ここで驚かれる方も多いのですがつまりダージリンとは紅茶のブランドや商品名ではなく「地名」のことです。
地名の後に摘まれた時期、生産された茶園やブレンド名が続くのが一般的です。
購入する際の注意点など
世界屈指の高級茶であるダージリンの茶葉は50g(150mlで約15~17杯分)で2,000~5,000円台の価格帯で当たり前のように売られています。が、これはあくまで100%混ぜ物無し、もしくはダージリンとダージリンをブレンドした、正真正銘ダージリンティーの場合です。
こういった本物のダージリンを手に入れるにはやはり紅茶を専門的に扱うお店か、通販などを利用するのが近道でしょう。
ただし通販では実際の香りや味わいを確かめることが出来ないのでやはり実際に見てから選ぶのが一番です。
そして以外に知られていなかったりもするのですが、紅茶やコーヒーのように茶葉やコーヒー豆の販売をメインとするお店では、気になるお茶を無料で試飲させてくれる所も数多くあります。僕の勤め先がまさにそうなのですが。
店員さんの方から試飲を勧めてくれなかったとしても少しだけ勇気を出して聞いてみてください。
お店が混雑している等の特別な理由がなければ快く淹れてくれると思います。
試飲から販売に繋げるのも大事な仕事なので。
偽物も多く存在する
ちなみに、スーパーなどで見かけるダージリンと称されたお手頃商品の茶葉の中にはほとんどダージリン産の茶葉は含まれていない、中には全く含まれていない悪質な物も存在しますので、ダージリンと謳っているにも関わらず原材料に「紅茶」としか書かれていないような格安商品は注意が必要です。
また、高価なダージリン紅茶は、ブレンドでない限りほぼ間違いなく茶園名が記載されていますのでそちらも検索するなどしてしっかり確認しましょう。
なぜならダージリンは世界でもトップクラスの高級茶、世界最大の紅茶産地と知られるインド全体の紅茶生産量のわずか1%しか生産されていないため、言い方は悪いですが仮に安物でも50g(150mlで15杯程度の茶葉)で500円以下、ということはほぼ無いと言ってもいいからです。
3つの旬なシーズン(クオリティーシーズン)
ダージリンティーは春、夏、秋の3つのシーズンに違った個性を持つ美味しい茶葉が摘めます。(クオリティーシーズンといいます。)
摘まれた時期によって淹れ方が変わったり、味わいやアレンジの幅が広がったりと、面白い紅茶だと思います。
ファーストフラッシュ(春摘み)

まずはファーストフラッシュ(春摘みダージリン)です。
最大の特徴としては画像のように、発酵を抑えた緑色の茶葉を多く含んでおり、若々しい爽やかな香り、少し冷ましたお湯で蒸らすと優しく感じられる旨味を持つことから「緑茶に近い紅茶」と言われています。
春摘みということはインドの春摘み(2~4月)のことを指しますので日本に新鮮なファーストフラッシュが入荷するのは早くて4月中旬~5月頃となります。茶園によってはもう少し遅れることもあります。
ファーストフラッシュの淹れ方の目安(1人分)
- 使用する茶葉は3~3.5g
高級茶ですので特に失敗したくないという方は計量器を使用するのがベストです。 - お湯の量は150ml
- お湯の温度は85-95℃
沸いたお湯を一度ほかの茶器などに移すと90℃くらいに下がります。 - 蒸らし時間は2-2.5分
セカンドフラッシュ(夏摘み)

ファーストフラッシュ(春)の次はセカンドフラッシュ(夏)です。
ファーストフラッシュ同様、インドでの夏摘み(5~6月)を指すので日本に夏摘みダージリンが届くのは7月~8月の間です。
特徴としては緑茶好きの僕的には、まさにイメージ通りの紅茶、美味しい紅茶の王道、といった感じです。
いわゆるマスカテルフレーバー(マスカットのような香り)を持ち、夏摘みダージリンにしか出せない独特の程良い甘みがあることから、あらゆるお茶の中でも紅茶が一番好き。という方はセカンドフラッシュを迷わず選ぶ。という印象です。(偏見かもしれませんが)
しかし、ファーストフラッシュが希少性の高さもあり高価であるのに対し、セカンドフラッシュが希少性の面でファーストフラッシュに劣っていても価格帯に差がない所を見ると、やはり紅茶としてのクオリティー、世界中の紅茶ファンからの支持の高さという他にないと思われます。
香りのファーストフラッシュ、味のセカンドフラッシュという風によく言われます。
あなたが本当のダージリンの味や香りを知らずに訪れた紅茶屋さんの試飲が仮に有料だったとしても、最低限この2つは飲み比べていただきたいものです。
また、試飲を頼む際は「花のような」、もしくは「果実のような」香りや味わいが好み等、個人的な好みを無理のない程度に具体的に伝えてみましょう。
難しいかもしれませんが今後も紅茶を楽しみたいのであれば必要なことです。的が絞られるため店員さんも提案しやすくなります。
セカンドフラッシュの淹れ方の目安
セカンドフラッシュは一般的な紅茶と同様に、
- 2.5~3gの茶葉
- 沸き立ての熱湯で
- 2~2.5分ほど蒸らします。
オータムナル(秋摘み)

最後にオータムナル(秋摘み)です。
ファースト、セカンドと来たらサードかと思いきやそうではないようです。
10月中旬から11月に摘まれた茶葉が12月頃に日本に届きます。
また、冬になると茶樹の休眠期に入るためオータムナルを最後にダージリンの年間のクオリティーシーズンは終了となります。
オータムナルは別名「1年で1番甘いダージリン」と言われており、確かに実際の味もまろやかで茶葉が持つ甘味を強く感じられるものが多いです。
なのでミルクティーにも合うダージリンとしても有名です。
オータムナルの淹れ方の目安
オータムナルもセカンドフラッシュ同様に、
- 2.5~3gの茶葉
- 沸き立ての熱湯で
- 2~2.5分ほど蒸らします。
有名なダージリン茶園
現在、ダージリンを生産している茶園は87ヶ所あります。環境や生産者の技術、製法によってそれぞれ違った個性を持つダージリンが生まれます。
個人的には華やかな香りを持つダージリン茶園では、世界で最も有名と言われ、茶葉のオークションで史上最高額を記録したキャッスルトン茶園、果実のような香り、味わいを持つ茶園ではシーヨク茶園が好きです。
以下は日本にも茶葉が輸入されている有名な茶園です。
- オカイティ茶園
- キャッスルトン茶園
- グームティー茶園
- ゴパルダーラ茶園
- サングマ茶園
- サマビオン茶園
- ジュンパナ茶園
- シーヨク茶園
- シンゲル茶園
- シンブリ茶園
- スーム茶園
- スタインタール茶園
- セリンボン茶園
- タルボ茶園
- チャモン茶園
- ナグリ茶園
- ナムリング茶園
- ノーストゥクバー茶園
- バラスン茶園
- フグリ茶園
- プッシンビン茶園
- プッタボン茶園
- マーガレッツホープ茶園
- マカイバリ茶園
- リシーハット茶園
- リンギア茶園
- ロヒニ茶園
ロットナンバーについて
紅茶屋さんに行ったらダージリンの茶葉の外袋をよく見てみてください。
茶園名の後ろらへんにDJ-1や、DJ-2などといったように数字が振られていると思います。
この数字がロットナンバーです。
茶摘み開始初日に摘まれた茶葉のロットナンバーがDJ-1、次の日に摘まれた茶葉はDJ-2というように番号を振ります。
なぜならこの1日のわずかな時間で茶葉の味や香り、そして価格にも違いが出てくるためです。
茶園によってはDJ-30くらいまでの番号になることもあります。
ここまで細かく管理されるとは、やはりダージリンの特別感を感じざるを得ませんね。
ここまで読んでくださりありがとうございました。
今回はダージリンについての基本的な知識について書かせていただきました。
あなたにも好きなダージリンのクオリティーシーズン、茶園が出来ればヤマシタは嬉しいです。
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