こんばんは、お茶の販売員ヤマシタです。
今回は茶器についてですが日本茶を淹れる際に使用する茶器です。普段ティーバッグやペットボトルのお茶を飲んでいるけど満足できないという方も参考にしてもらえたらと思います。
急須

茶器と聞いたらまず急須が頭に浮かぶ方が多いと思います。ご存じの通り用途は茶葉を蒸らして茶碗や湯呑に注ぐための道具です。
急須は大きく分けて4つに分類することが出来ますが、人によっては画像のように取っ手が横に突き出しているタイプ(横手)のみを急須と呼ぶ。という見解もあります。
ひとまず、そんな横手をはじめとする急須の4種類について紹介していきます。
横手(よこで)

急須といえば前述でも紹介したようにこの形です。一般的に1~2人用(300ml程)のお茶を淹れる際に用いられます。
右利きの人が多いことから注ぎ口を正面に見て右側に取っ手が付いていることが多いです。(茶碗に注ぐ際に左手で取っ手を持ち、右手で蓋を押さえるため。)
もちろん左側に取っ手が付いているものもありますのでネットで探す際は「急須 左利き」のように検索してみると良いでしょう。
後手(うしろで、あとで)

急須の注ぎ口を正面に見て、隠れるように後方に取っ手が付いているのがこのタイプです。
中国茶器や紅茶に用いられるティーポットもこの形をしていることが多いです。
上手(うわで)

本体の上部に取っ手が付いているタイプです。
元々取り付けられているものと
別個で取り付けるものがあります(土瓶)。
宝瓶(ほうひん)

取っ手が付いておらず本体を直接手で持って茶碗に注ぎ淹れるタイプです。
直接持ったら熱いんじゃない?と思われるかもしれませんが、宝瓶はもともと玉露を淹れる目的で使用されてきました。
玉露は約50~60℃ほどの低温で淹れるため茶器自体も熱くならず直接持っても平気です。
類似した茶器に中国茶器の「蓋椀」というものがあり、蓋椀が起源されているのではないかという説もある。
陶磁器
急須は一般的には陶磁器の物が多いです。
有名なのは信楽(しがらき)、備前(びぜん)、丹波(たんば)、越前(えちぜん)、瀬戸(せと)、常滑(とこなめ)の6つで、これらは日本六古窯(ろっこよう)と呼ばれています。
また、陶磁器は陶器と磁器をまとめて呼んだ言葉であり、陶器と磁器では特徴が異なる点も多いです。
鉄器

鉄器といえば南部鉄器(岩手県)が有名です。
年間生産額が約90億円にも関わらず南部鉄器の伝統工芸士はたったの21人です。趣があり、使うほどに味わいが出てくる外観に魅了される人が後を絶ちません。
また、鉄製の茶器でお茶を淹れると味を引き立ててくれると言われています。逆に銅や亜鉛、アルミは一概には言えませんが味を劣化させてしまう。といわれています。
鉄器は日本茶だけでなく中国茶や紅茶にも適しているとされるため、お茶全般好きな方にもぜひ使っていただきたい茶器です。
茶碗

茶碗とは、文字通りお茶を注ぐためのお碗です。
元々は茶の湯(抹茶)を嗜む際に用いられていましたが、現在ではご飯をよそうお碗のことも茶碗と呼びます。
ちなみにヨーロッパでは茶碗のように把手がないものをティーボウル、紅茶を飲む際に使う把手が付いたカップをティーカップ、コーヒーカップなどと呼びます。
把手が有るか無いかはやはり、目的としたお茶を淹れる温度が理由のような気がします。
抹茶は70~85℃程度で淹れるのに対し、紅茶やコーヒーは熱湯で淹れるのが一般的ですからカップにそのまま触れたら火傷しちゃいますよね。
詳しくはわかりませんが僕は宝瓶と同じような感じかなと勝手に予想しています。
茶さじ・保存容器(茶筒)

茶さじ
「茶合」、「茶計」、「茶量」、「茶測」、「仙媒(せんばい)」とも呼ばれます。
お茶の軽量スプーンのような役割をしてくれます。材質も木製であったり金属製であったりします。
茶さじ一杯ですくえる茶葉の量は、一般的な煎茶だと3~6gほどです。すくった時の盛り具合、茶葉の形によって変わってきますが一人分(150ml)を淹れる時にちょうど茶さじ一杯くらいな感じです。
保存容器(茶筒)
お茶を保存するための茶器です。
材質や大きさも様々で金属製や木製など、価格帯も様々で安いものだと2~300円、伝統工芸の職人さんが作ったものは1~2万円以上します。
茶筒を選ぶ際のポイントは、普段使う量に適しているかです。
一か月に50g使用する人は50g用の缶を、100g使う人は100g、といったように普段飲む量に合った茶筒を使用する必要があります。なぜならお茶は空気に触れる度に鮮度、味わいが落ちていきます。
茶筒に茶葉を直接入れているのであれば尚更、空気や湿気に触れることでしょう。また、蓋の大きさが十分にあるものが使いやすいです。
湯冷まし

湯冷ましは、煎茶や玉露など、低温で味が生かされるお茶を淹れる際に用いられます。
効率よくお湯の温度を下げられるように、底より口を大きく作ってあるのが一般的です。
似た形の物に中国茶器の「茶海」がありますが、茶海はお湯を冷ますためではなく、抽出された茶を一旦移しておくために用いられるため湯冷ましとは異なります。
茶筅(ちゃせん)

茶筅は抹茶を点てる際に用いられる竹帚のような道具。
画像のように抹茶が泡立っているのはこの茶筅でシャカシャカされたためですが、泡を立てるためではなく茶碗の中の抹茶を均等に分散させることを目的としています。
先端の穂数によってどのような抹茶を点てられるか変わってくるのも特徴です、濃茶を点てる時は穂数の少ないものを、一方薄茶を点てる時には穂数の多いきめ細かな茶筅を用いることで理想とする味に近づけます。
穂数には明治維新以前の身分を表す歴史的背景もあり面白いです。
茶杓(ちゃしゃく)

煎茶を淹れる際に用いられる茶さじの抹茶版。
普段は筒の中に収められており、その筒に「銘」と呼ばれる、茶杓に付けられた名前が記されており、作者の思い入れを感じることが出来ます。
茶香炉

茶香炉は、お茶を淹れるための道具ではなく、茶葉を熱することで漂う香りを楽しむための道具です。
歴史的にはまだ浅く、1997年に愛知化学陶磁器が商品化したのが始まりです。
茶香炉で焚いた後の茶葉は焙じ茶として楽しむことが出来るのも特徴です。また、お茶以外にもコーヒーやハーブの香炉としても使用できます。
いかがでしたか?今回は主に代表的な日本の茶器についてざっくりと紹介しました。お気に入りの茶器でゆっくりとお茶を楽しめばより一層お茶の世界に引き込まれることでしょう。
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